ワンコインの記憶が消えていく──牛丼チェーンが映す今の生活感

定点観測

牛丼・並盛は450円。

かつての350円台を知る人にとって、
その差は小さくても、感覚の中では大きい。

「ワンコインで食べられる」という言葉が、
いまも残っている。

だが、実際にその価格で食べられる場面は減っている。

繰り返し見られるのは、
金額そのものよりも「安さの記憶」の変化だ。

記憶の中の安さと、現実の価格が少しずつずれていく。

多くの人は、値上げそのものより、
“まだ安い”と思える感覚で納得している。

数字が上がっても、体感は静かに追いついていく。

この構造の中では、
抵抗よりも順応が先に起きる。

変化は、気づかれないまま生活に溶けていく。

ワンコインは、もう基準ではなくなっている。

それでも、言葉としての「安さの象徴」は残っている。

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