上野公園の中央、樹木の合間に灰色の建物が見える。
コンクリートの外壁は、光の角度によって明るさを変える。
近づくと、静かに水を湛えた池が現れる。
風の向きで水面の反射が揺れ、
その揺れが建物の表面に映っていた。
入口の階段を上がると、
ガラス越しに展示室の一部が見える。
外の空気と内部の静けさが、
一枚のガラスで分けられている。
館内の導線は回遊式で、
歩くたびに視線の高さと光の位置が変化する。
壁と床が作品を見る角度を調整しているようだった。
展示室ごとに温度が違う。
湿度と照度の管理によって、
空気の密度がわずかに変化している。
その変化が、歩く速度を決めていた。
常設展には、印象派や近代の作品が並ぶ。
一枚一枚の絵が同じ方向を向いている。
視線が作品から壁、壁から建築へと流れる。
企画展では、マティスとルオーが並んでいた。
色と線の対話が、建物全体のリズムと重なっているように見えた。
作品だけでなく、建築がその会話の続きを受け取っていた。
展示を抜けると、再び外の光が強く感じられる。
灰色の壁が昼の色を反射して、白に近づいていた。
訪れた人が外に出たあとも、
建物の中では同じリズムが続いているようだった。

日常の中にある「小さな違和感」や「社会の変化」を、
一歩引いた視点で観測しています。
このブログは、学ぶためのものではありません。
前提条件と立ち位置のズレを観測し、
判断が狂い始める構造を、メディアとしてこの場に残しています。

